【最終回】太陽光発電の「不都合な真実」:日経ビジネスオンライン
産業革命以前の薪炭、牛馬、水車、風車と同様に、太陽光パネルはフローの太陽エネルギー利用であって、太陽エネルギーのストック(貯金)である化石燃料を大きく代替することはできない。
再生可能エネルギーの大風呂敷を真に受けるな
例えて言えば、サラリーマンがこつこつ働いた毎月の給料で、伯父さんの莫大な遺産で遊んで暮している金持ちと同じ水準の消費をすることはできないという事だ。既に何回か述べたように、68億人を擁する現代文明は、この大金持ちの遊び人の大散財で初めて成り立っている。
ちなみに、現在の世界の耕地面積は既に全陸地の1/3を占めており、残りのほとんど全ては砂漠、森林、極地、山岳であって、農業にも太陽光発電にも利用困難だ。その、目一杯利用されている耕地が生み出す食糧の総カロリーは、現在のエネルギー使用総量のわずか5%程度にしか過ぎない。もちろん、現在利用されていない茎や葉をエネルギーとして有効利用できれば(ただし、今これらは大半肥料になっている)、何%か上げることはできるが、元来桁が違いすぎる。原理的に植物と大差なく、かつ土地利用で競合する太陽光発電で、化石燃料の大半を代替することは原理的に不可能と考えた方が良い。
風力など他の再生可能エネルギーも、詳しく述べる余裕がないが、全く同じことが言える。研究者の予算獲得のためや、関連業界の宣伝のための大風呂敷を真に受けてはいけない。だから、太陽光発電など再生可能エネルギーの技術開発や導入だけでなく、化石燃料の中で環境負荷が一番低い天然ガスで他の化石燃料を代替し、また原子力を安全・堅実に利用し、省エネ技術の開発、贅沢の抑制などを同時に進めるべきだろう。だが、中国、インドなど途上国の人々に、「狩猟採集的生活パターンへの回帰」など考えず、マルサスの罠に囚われたままでいろと言えない以上、それで問題が抜本的に解決、軽減できるとも到底思えない。
たしかに太陽光発電の容量は面積で決まる。
化石燃料を代替できるほどの土地は地球上に存在しない。